社会福祉制度を知るということ
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日本で社会福祉・保障制度は意外に知られていない。最近ツイッターなどでもこんな制度を知らなかったということが多いような気がする。
私はバブル世代に育ち、就職する時にバブルが弾けたので実感として日本の衰退を感じている。
そもそも社会保障制度を利用するという前提がない中で育ってきたり、教育を受けているので知らなかったという人も多いと思う。
今の収入で国が定めた「健康で文化的な最低生活基準」を満たしていなければ受給できる。
ではいったいいくらもらえるのか?
まずは生活保護の申請に行かねばならない。各市区町村窓口に福祉課などの窓口があるのでそこへ。(申請保護の原則)
ちなみに4原理・4原則のもとに生活保護は法整備されている。
生活保護費の計算式
https://www.mhlw.go.jp/content/kyuchi.3010.pdf
まずは自分の居住地を明らかにする。居住地によって変わってくるからだ。
例えば東京23区なら1-1ということになる。
https://www.mhlw.go.jp/content/kijun.3010.pdf
さらに生活扶助費(基本となる保護費)算出をする。
1-1で20歳から40歳なら生活扶助第一類(=食費などと言われている)の基準額①で41440円。
さらに生活扶助第二類(光熱費などと言われている)の基準額①で単身世帯なら44690円。
家賃がかからない場合、生活保護の生活費は合計86130円。
家賃がかかる場合=賃貸住宅の場合。
住宅扶助で23区だと53700円まで支給される(もちろん、今住んでいるところがそれ以上なら区内での引っ越しを求められる可能性もある)。
※必要に応じて69800円(23区)まで支給されることもある。
東京23区居住で20~40歳で単身、賃貸暮らしの場合、生活扶助1類、2類の86130円と住宅扶助53700円の合計、139830円が単純に生活保護費となる。
それぞれ必要に応じて対応する額が少ないながらも影響するので各市区町村窓口にて相談のこと。
医療扶助もあるので医療費は無料。
他、葬祭扶助、介護扶助、生業扶助、出産扶助、教育扶助を足したものが最低生活費認定額となる。
全ては必要に応じて支払われる。(補足性の原理)
23区で139,830円は高いか安いか
さて、東京23区で単身20~40歳でアパート暮らしの場合、139830円は高いか安いか。高くもなく安くもない。これが国が決めた「健康で文化的な最低生活基準」だから。
これを下回る手取りの場合、また医療にかかって手取りを上回るときなどは申請すれば保護されることになる。
現在の給与の手取りが120,00円であるなら、補足性の原理をもとに残りの19,830円が保護費となる。
また障害年金を受けているのなら月々の年金額を差し引いたものが保護費となる。
もちろんアルバイトも収入になるので月々8万の収入なら、差し引き59830円が支給額となる。
まずはあなたの最低生活基準額を算出してみることをお勧めする。
申請しなければ保護されない
そこで満たしていなければ保護を申請するのか、我慢するのかを決めればいい。申請主義なので自分で決めることだ。(むろん緊急性がある場合は別だが)
高額療養費制度
また結構身近だけれど知られていない制度として高額療養費制度がある。
https://www.mhlw.go.jp/content/000333279.pdf
高額な医療費になってしまった場合の制度だ。これは同一の医療機関・薬局で一ヶ月(月初めから月終わりまで)の医療の負担上限が設定される制度だ。
例えば69歳以下で年収370万円以下の場合、一ヶ月の医療費が57600円の上限負担で済む。
つまり一ヶ月の医療費が5万7700円の場合、100円の支払いとなる。逆に57600円の場合負担はなしで57,500円なら全額負担ということになる。
これは年収別になっており、例えば年収370~770万の場合、80100円+(医療費ー267000円)x1%だ。
この例としては、一ヶ月の医療費が100万円で保険証の3割負担で30万円の場合は80100円+(1,000,000円ー267,000円)X1%で80,430円が上限額となる。
病院窓口で30万円請求されても8万7千430円が上限(一ヶ月)ということになる。
住民税非課税の場合、上限は35,400円なのでどんなに請求されても35,400円の支払いということになる。
高額療養費は先払い
しかしながら基本的に先払いなのでとりあえず請求された額は支払うことになる。
一旦請求された額を支払い、のちに還付される。
例;上限3万5千400円の場合で請求が30万円の場合は30万円を支払ったのちに30万ー3万5千400円で26万4千600円が還付される仕組みだ。
限度額適用認定証(限度額適用・標準負担額減額認定証)を入手する
のちに還付されるとはいえ一度の負担がでかいので先に加入の健康保険組合、協会けんぽ、市区町村窓口で限度額適用認定証を入手しておき、病院窓口に提示すれば支払いは上限額のみで済む。
医療費が高額になりそうなとき | 健康保険ガイド | 全国健康保険協会
各市区町村窓口の国民健康保険課に保険証を持って申請する。郵便受付申請により入院中でも申請は可能だ。入院先の病院に認定証を送付してもらう。
2012年より外来も適応になったので知っておいて損はない。
万が一、国民健康保険を支払っていなかった場合、対応されないので、即生活保護の医療扶助単独給付ということになる。
この場合、即、医療機関窓口、主治医に相談したほうが早い可能性がある。
社会福祉士や精神保健福祉士(いわゆるケースワーカー、ソーシャルワーカー、相談員など)医療事務が詳しい。医療機関としても取りっぱぐれは避けたいので即対応してくれるはずだ。
社会保障制度は多くある
このように社会保障制度は存在しているが、知らなかったというだけで利用できない場合が多い。
しかし、義務教育では教えてもらえない制度だ。法律だ。せめて義務教育に社会保障を入れて欲しいと切に願い、不必要な貧困を避けてもらいたい。
私はバブル期に生まれ育ち、バブル崩壊後に就職活動したのでどれだけ日本が衰退してきたかを肌で感じている。
バブル崩壊後、路頭にさまよった人、子供がいるが教育費に困っている人など、どれだけ社会保障制度が生きるのに必要か感じている。
それぞれ、健康保険制度に始まり、各種補助金、失業保険、生活保護制度など知っておくべき制度は多くある。
これだけインターネットが拡大した世の中だ。即厚生労働省のHPで制度のことを知ってもいいのではないだろうか。
生活保護制度は悪ではなく、8時間勤務で生活保護を受けねばならない賃金を悪としたい。