病気だったのか?人権は?どうすれば防げたのか?


スポンサーリンク

相模原障害者施設殺傷事件のNHKスペシャルを見た。

www.nhk.or.jp

相模原障害者施設殺傷事件 - Wikipedia

19人が殺害された、痛ましい事件。

容疑者が措置入院していたということで「精神障害者の事件」のように扱われていることに違和感を感じる。この事件はそもそも、ひとつの考え方を持った人間がそれに確信を持って行動に移した結果、事件になったもので、決して「精神病者」が起こした事件ではない。

そもそも、精神障害、疾病があるとして、措置入院させた診断もギリギリの判断だったと思う。現場の医師達は苦悩の決断だったと思う。ある考え方を持ったとしても警察はその人間を拘束はできない。何も事件を起こしていないから。万が一、ある考え方を持っていて、それが今の社会、法律において、「危険思想」と判断され逮捕、拘束されるようだとしたら、それは中世時代と全く変わらない。独裁者が用いる、「危険思想による拘束」と同じである。そんな社会は現代において退行した社会としか考えられない。

しかし、このようなはっきりとした考えを持って、他者にも公言し、殺害すると公言している場合、どうすればいいのか。別に特定の誰かに向けて発信しない限り「脅迫」にはならないだろう。行政の執行機関である、警察は通報を受けてできることといえば、任意による事情聴取ぐらいだろう。その場で「実行はしません」とでも言えばすぐに放免だ。また、「必ず実行する」と言っても、実行するまでは逮捕する根拠がない。危険性はあるが、逮捕はできない。何も法には触れていない。自分の考え方を述べているだけだ。

心神喪失者等医療観察法の対象者は障害によって重大事件を起こしたものの障害によって不起訴になった障害者のみだ。今回は事件を起こすまでは触法していない。(大麻などの使用はあるが)

心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律 - Wikipedia

精神科医療における、措置入院の対象は「自傷他害の恐れのあるもの」だ。これが「社会防衛」的に作用すると、精神科医療はやはり退行していると言わざるをえない。今回は大麻反応が出たので「薬物使用による障害」と言うのがギリギリだろう。薬物反応が出なかったとしても「妄想性障害」と言えるだろうか。

「障害者は今の社会において存在する意味がないから殺すべきだ」という主張は"今の社会において"異常であるが、病気であると言えるか?

病気だというとするのならば、なんという病名か。何科にかかるべきか。精神科か?考え方が異常ならば精神科なのか。百歩譲って精神科に受診したとしても、何をすればいい?考えを変える方法はあるのか?

妄想か考えか?の違いは大きい。妄想は明らかに妄想だ。地底に住んでいる人間がいて、それらが殺しにくる。と聞いたら、精神科の受診を勧める。が、地底人はいる!と言う考えを持っているが、特に普段の生活に影響がない人はどうするのか?精神科に行かせるのか?

矢追純一はUFOでTVに出ているが、執拗にUFOがいると言っていても精神科にかかる必要を考える人はいない。

今回の容疑者も「障害者はこの世の必要がない」と言っていても、そこで逮捕はできない。精神科の必要性を感じるだろうか。病名は何になる?妄想?

まだ、矢追純一のほうが「妄想性障害」に近い。診断できる。「幽霊が見える」と言うほうが「幻覚」と言える。

妄想(もうそう、delusion)とは、非合理的かつ訂正不能な思いこみのこと。

妄想 - Wikipedia

妄想を持ったら即精神科受診なのだろうか。強制受診、強制入院なのだろうか。それは怖い社会だと思う。

例えば私がA子さんとデートをするのを妄想している。それも楽しいデートを。映画を見たり、食事をしたり。しかし、A子さんがそのことを聞き、怖いと思うとする。A子さんは警察に通報する。警察は何ができる?ストーカーですかと言われるだろう。警察も頑張って、私に警告をしてくるかもしれないが妄想を止めることはできない。妄想するのをやめなさいというのか。私はわかりましたと言い、妄想を続けるだろう。それでA子さんは私を逮捕できるのか?精神科に受診させることができるのか?誰が精神科に受診させるのか?私は健全に妄想しているだけだ。他人に話しているが笑われている。そんな状態で法に触れているというのか。

障害者を殺すという考えを持つ。これは妄想だろうか。ただの思想だろう。思想を持つことは憲法でも保証されている。危険な思想だから逮捕するのか?これは人権侵害ではないのか。

裁判になったら逮捕された側が勝つだろう。

では、今回のような人格、考え方を持った人間がいた場合、どうすれば防げるのか。池田小学校事件のような人格を持った人間と同じだ。宅間被告も精神障害者ではなかった。そういう考え方を持った人間だった。そう人間だった。精神科に閉じ込めるのか?それで全て解決するのか?かなり危険な考え方であると言わざるをえない。

王様の文句を言ったら捕まる世の中ではない。しかし、事件は防ぎたい。今回の容疑者もおそらくは死刑になるだろう。一審の裁判員裁判で確実に死刑だろう。しかし、被告には控訴ができる権利がある。二審、最高裁まで控訴できる。再抗告もできる。こんなに人権を守る社会にしたのは誰だ。我々だ。

これからも人権を守る社会を守っていきたいと思う。

しかし、今回のような事件が起きるたびに精神科の問題にするのはおかしいと思う。精神科の問題にするのは他のスケープゴートを見つけることができないからだ。今回の精神科問題にすり替えられている扱いは宅間被告の再来でしかない。

心神喪失者等医療観察法の拡大解釈が始まると、本当に怖い社会になると思う。

いったいどうすればこのような人間たちを付き合っていけばいいのか。社会が試されている。

防犯のため、各施設に警備員を置く法律を作るのか?その施設が負担する警備員のための人件費の根拠は?税金か?このような事件の後、警備員はどのような対応をすればいいのか。その法整備は?そして、現場の警備員の装備は?万が一、銃を持った人間が現れた場合は?猟銃を持っている場合は?警棒やスタンガン、スプレー、テイザーよりも強力な武器を持ってきた場合は?

防犯カメラを増やすのか?そのお金の根拠とプライバシーの侵害との兼ね合いはどうするのか。そもそも今回のような確信を持った人間に対して防犯カメラが役立つのだろうか。

それとも、保安処分を進めるのか。それに基づいて考え方を矯正する施設を作るのか。独裁国家のようだ。

この社会にしこりを残す事件だと思う。

宅間守 精神鑑定書――精神医療と刑事司法のはざまで

宅間守 精神鑑定書――精神医療と刑事司法のはざまで

 

 

人権法

人権法

 

 

四訂 精神保健福祉法詳解

四訂 精神保健福祉法詳解

 

 

精神保健指定医取得申請マニュアル

精神保健指定医取得申請マニュアル